近年、食事摂取の欧米化で日本人の平均コレステロール値は30年前にくらべ50mg/dlほど高くなっています。この結果、比較的大きい血管の動脈硬化による疾患が増加しつつあります。その中でも頚部内頚動脈はもっとも影響を受けやすく、動脈硬化が進行した場合、狭窄や場合によっては閉塞をきたすこともあります(図1)。一過性脳虚血発作(TIA)の20%は頚動脈病変といわれています。

図1
頚部内頚動脈狭窄症は脳神経外科領域の中でももっとも治療のエビデンスが確立した分野で、放置した場合の脳梗塞をきたす率は高く、安全性もかなり確立されています。
以前は発見する検査としては一過性の虚血発作や軽症の脳梗塞をきたした症例で、脳血管撮影を行った場合に限られていました。最近は頚動脈超音波検査の進歩により手軽に、ほとんど無侵襲で頚動脈病変をみつけることができます。
動脈硬化をみる基本は、中膜と内膜の厚さです(図2)。この厚みが1.2mmを超えるものは異常と判定します(頚動脈エコーによる動脈硬化性病変評価のガイドライン)。

図2
心臓の冠動脈に病変をもつ人の1割に頚動脈病変があります。また人工透析で長期の人や糖尿病に高脂血症があり指摘されて長い人、ASOとよばれる動脈硬化性の下肢虚血発作のある人などは要注意です。
症候性(一度でもTIAや、梗塞をきたした)、無症候性(一度も梗塞をきたしていない)で脳梗塞をきたす率は違います。いずれもアスピリンなど内科的治療を充分したとしてですが、
- 病変
- 1年間に脳梗塞をきたす率
- 症候性狭窄率50%以下
- 3.7%
- 症候性狭窄率50-69%
- 4.4%
- 症候性狭窄率70%以上
- 6.5%
- 無症候性狭窄率60%以上
- 2.2%
治療方法としては全身麻酔で、内膜剥離手術を行うのと(図3)カテーテルでステント留置を行う(図4)2通りがあります。

図3

図4
内膜剥離手術は症候性50%以下をのぞきすべて有効です。これはNASCETやACASなどの大規模試験で立証されました。ステントもCREST studyやSAPHIRE studyで有効性が立証されつつあります。
米国では年間10万人の患者さんが手術を受けます。日本ではまだ発見がすくないのか、手術が年間5000人で、ステント留置も5,000人前後受けられています。
どちらが有利か難しいところですが、欠点、利点を挙げると
| ステント治療 |
内膜剥離手術 |
局所麻酔で行う。
頚部に傷がはいらない。
大腿動脈穿刺部の損傷
術中血栓はとびやすい。
術後低血圧を生じる。
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全身麻酔が必要。
頚部に傷がはいる。
下顎のしびれがのこる。
術中血栓はとびにくい。
術中の心臓合併症をきたすことがある。
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