腰椎椎間板ヘルニア 内視鏡下手術と顕微鏡下手術
医誠会病院では脳神経外科医が首から腰まで脊椎・脊髄外科の診療を担当しています。椎間板ヘルニアや脊柱管狭窄症など脊椎疾患による手足の痛み、しびれや筋力の低下は脊髄神経が圧迫されることが原因で生じます。
この症状に対する手術の目的は脊髄神経の圧迫を取り除くこと。私たち脳神経外科医は脊髄神経の圧迫を取り除く脊椎手術(神経除圧術)を行っています。
日本では主に整形外科で脊椎手術が行われてきた歴史がありますが、欧米では、従来から脳神経外科医も腰椎も含めて脊椎手術を手掛けています。当院では脳手術と同様に顕微鏡を用いた手術テクニックを脊椎手術に応用して、安全かつ確実に神経の圧迫を取り除くように心がけています。また、より患者さんの体に負担の少ない内視鏡下手術にも取り組んでいます。
MRI検査による確定診断
腰椎椎間板ヘルニアの主な症状は、腰痛、臀部痛(お尻の痛み)、足のしびれ、足の麻痺や感覚障害などがあり、これらの症状が突然起こることが多く見られます。
しかし、腰痛の原因は7割〜8割が特定できないといわれており、症状が腰痛のみの場合は、当院では基本的に手術を選択していません。
逆に、排尿・排便の障害(出にくい、失禁)などの症状がみられるときには、大元の脊髄神経が、よほど圧迫されないとこのような症状はでてきません。この状態は、腰椎椎間板ヘルニアの緊急手術が必要になります。このような重度の麻痺や障害は発症から時間が経過すると、手術をしても後遺症が残りやすくなりますので、早期手術を検討する必要があります。
腰椎椎間板ヘルニアを疑っても、押しつぶされ突出した部分は軟骨ですので、レントゲンには写りません。医誠会病院には、高精度のMRIが導入されており、MRIによる画像診断を行い、症状の原因を確定させ、治療を進めています。
腰椎椎間板ヘルニアの内視鏡下手術と顕微鏡下手術
医誠会病院で行っている腰椎椎間板ヘルニアの低侵襲手術は、内視鏡下手術と顕微鏡下手術があります。内視鏡下手術はモニター画面を見ながら行う手術で、切開は1㎝未満、ほとんどの組織を切除せず温存できることが最大の利点です。そのため、非常に狭い視 野で手術操作を行う必要があり、技術的に難しくなります。
医誠会病院脊椎脊髄センターでは、椎間板ヘルニア以外のものが神経を圧迫している場合は顕微鏡下手術を選択する事が多いです。また、内視鏡下手術を選択した場合でも手術中に脊髄神経への圧迫を取り除くことが困難であると判断した場合は、顕微鏡下手術に変更する方針を取っています。顕微鏡下手術では、切開は3〜4㎝となりますが、神経や血管を直視下で観察しながら手術を行うため、神経の圧迫が取れたかの確認が容易であるばかりでなく、ヘルニア以外の圧迫も除去することができます。
手術の目的を確実に達成することが、患者さんのQOL(生活の質)の向上に繋がります。私たち脳神経外科医は、患者さんを第一に考え、経験と知識をフル活用して診療・手術に取り組んでいます。
